彼が突然、全部やめにしよう、なんて言った。
しんとした空気の中、彼に視線が集まる。
「ここまで頑張ってきたけど、
もう無理だろ。
俺だけじゃない。
最近誰も身が入ってないんだよ」
場が凍てついていくのが、誰の目から見ても分かるようだった。誰にとっても図星だったのだろう、
中央の彼と、ひとりも目を合わせなかった。
西村くんの葬儀の日、1番泣いてたのはアオだった。
「西村に主演、やらせようと思ってんだ。
新人発表会。」
そうはつらつとした笑顔で言っていた彼の言葉は、
こんな結果になるはずじゃなかった。
「俺が殺した」
何度も何度も髪をむしっては苦しむ様子を、彼は私以外の誰にも見せなかった。部員にはいつも明るく淡々と接していた。でも私の家では散々だった。死のうとする彼を止めるのに私も必死だった。
この発言は、アオが死ぬほど考えた結果だって、私がいちばんわかっている。
アオがいちばん、終わらせたくないはずなのだ。それなのに今、彼は自分の口から自分の言葉で、
全てにピリオドを打とうとしている。
だから私は言えなかった、
終わらせないで、なんて。
11/28/2023, 11:19:09 AM