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今日の夕飯は何を作ろうか。
冷蔵庫に残る野菜のかけらを指折り思い出しながら家路を急ぐ。時刻は19時を過ぎている。

つい数日前まで残暑を引きずったかと思えば、すっかり秋めいた肌寒い風が袖の隙間に入り込む。
日が落ちるのが早くなり、辺りは薄暗い。
もう鍋が食べたい季節だな、などと考えながらスーパーへ続く角を曲がると、右手の小さな空き地にススキが群生しているのが目に留まった。

昔よくここでススキを採って遊んだな。
柔らかい穂先をすべらせて、猫じゃらしのように手の甲をくすぐったり。
ひとしきり遊んだら、穂先を一つ一つ扱いたり。
幼い頃は目に入る植物どれもに興味を惹かれたが、中でも秋にだけ出会えるふわふわの穂先には、一際夢中になったものだった。
ススキが目に入っても注意を向けなくなったのは、一体いつからだっただろうか。

歩みを進めると、スーパーの強い蛍光色の明かりが店内から漏れて視界を照らす。
えーと、厚揚げ豆腐は一番手前の冷蔵コーナーに……
ススキの感傷から鍋の具材に意識を移して、見慣れた自動ドアをくぐった。

11/10/2024, 10:46:17 AM