矢綱カコ

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「君からのLINE」


 送る。送らない。いや、やっぱり送ろうかな……。

 こんな文章でいいのかだとか、もっといい話題はないのかだとか、これじゃあすぐに会話が終わってしまうだとか、様々なことを考えてしまい、文字を打っては消して、打っては消してを繰り返すこと数十分。

 LINEを送る。
 たったそれだけのことにここまで悩むなんて。LINEがなかった時代は恋文で思いを伝えたんだと親から聞いたが、今も昔も思い人に文字を送るという文化は変化していないのだなと感じる。

 相手のアイコンをタップし、プロフィール画像を観察する。本日、あるいは本時、六回目の観察である。

 プロフィール画像をみてセンスいいなとか、ステメを読んでこんなこと考える人なんだなとか、あたかも初めてみるかのような反応をしてしまう。六回目なのに。

 うぅー!と唸り声を上げながら枕に顔を埋め、だらしなく足をバタバタと上下させる。

 やっぱりやめようかな……。
 文章を送るだけでこんなに体力を使っては他のやるべきこともできなくなってしまう。

 ごろりと寝返りをうち、仰向けになって考えていると手元のスマホが振動した。

 驚いて上体を勢いよく起こしてスマホの画面を見ると、先ほど悶々とLINEを送るか否か考えていた相手からだった。

 暫くロック画面を眺めていたが、表示時間が経過して暗くなったことによって目が覚めた。
 スマホをタップし、ロック画面を表示させる。それをスクショして、すぐにLINEを開く。

 やっぱりメッセージ送ろう!

 数日はあなたからのLINEが来たという事実だけで天へと昇れそう。

9/16/2024, 4:19:37 AM