嵐が来ようとも彼は絶対足をとめなかった。
彼女を一目見る為に。
彼女は助けを呼ぶことはない。
彼女の要望なんて誰も聞いてくれないから。
でも彼は違う。
小さい頃言った「僕が守る」
この言葉を守ろうとしていた。
別に約束はしていなかった。
彼女は嬉しそうに「そう」と言っただけだったから。
しかし彼女がもうこの屋敷にいないことを
彼は知らなかった。
彼は走った。
彼女に言った「守る」は
彼女が守られるような人なだけでなく
ただ彼が彼女の傍に居たいだけの言葉だった。
純粋な恋をどうか嵐に負けないで
─────『嵐が来ようとも』
7/29/2024, 9:17:58 PM