紺色

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天気のいい夜。

晴れてよかった。

そう思った。

今日は星野(ほしの)くんと星を見ようと約束していた日。

私の心臓は今バックバクである。

田舎に生まれてよかった。

誰もいない見晴らしの良い丘に星野くんと二人きり。

二人並んで丘の上に横になる。

手を伸ばせば容易に触れられる距離だ。

「見て!あれオリオン座じゃない?」

「?ホントだ〜」

正直言って私に星の知識は全くない。

だけど、星野くんは星が好きだと聞いたので意を決して誘ってみたのだ。

「まさか原(はら)さんも星が好きだなんて、思っても見なかったよ」

「あはは、私も星野くんが星好きなんて想像してなかったよ」

幸せ。

「僕の彼女は誘っても一緒に見てくれないからなぁ」

「え?星野くん彼女いるの?」

「うん、原さんはいないの?」

「いるよ」

つい咄嗟に嘘をついてしまった。

開始早々星野くんがとんでもないカミングアウトしてきたんですが。

まだ3分も経ってないよね?

ショックだわ。

泣いていい?

泣くよ?

だって、星野くんに彼女がいるって知ったところで恋心が無くなるわけじゃないじゃん。

星野くんも星野くんだよ。

もう少し察してくれても良くない?

普段全く話さないのに急に星一緒に見ない?なんて誘ってきたら普通自分に好意があるのかなって思うじゃん。

いやむしろそれに気づいていて「自分彼女いるので迷惑ですわ」みたいな事を私に伝えたかったの?

「あ」

「どうしたの?」

「何でもない」

「そう?声震えてるけど」

「大丈夫」

やべぇ、本気で涙出てきた。

驚いて声出ちゃったし。

さっきまで暗くて星野くんの顔見えないって思ってたけどむしろありがたいわ。

泣いてるのわかんないし。

星野くんの反対に顔を向ける。

今すぐこの場から消えてなくなりたい。

どうか私の星野くんへの恋心をなくしてください。


                             星に願って

読んでくださりありがとうございました。

2/11/2025, 2:50:12 AM