ひのね

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#距離

ありきたりな話。
親友は私がいくら遠くに行っても、いつも私の後ろに着いてきた。それは私が好きだからというより、ただ人からの離れ方を知らないのであった。執着に近いものでもあった。非常に絶妙なのであった。

高校生になる。
人の心の醜さを知り、欠点が嫌に目に付く。頭にこびりついた人に対する恐怖。畏怖。それを私の目線は誰よりも鮮明に覚えている。
ざあざぁと雨が降り続ける雨音は、まるで人を小馬鹿にしているようで、地面に飛び散る水滴はあまりに乱暴で。
傘を引きずったまま、振り返ることも出来ない距離のまま、ずっと。

12/1/2023, 4:25:38 PM