──ざわめきの中で、あなたはひとり静かな空気を纏っている。
放課後ってのはいいもんだ。次の授業の準備も、小テストの心配もしなくていい。魔法数学の課題が出たことなんて覚えてないったら覚えてない。
さっさと教室を出て、寮へ向かう。魔法学園は朝と放課後が一番賑やかだ。朝は遅刻しかけて騒ぐ生徒たちで、放課後は遊びの予定を話し合う声で校内中が活気づくから。
校舎を出たら、次にあるのは寮に続く渡り廊下。東屋のある道は放課後を過ごす生徒たちで溢れる場所の一つで、いつも混雑している。
「?」
なのに、今日はやけに人が少ない。授業でも長引いているクラスが多いのだろうか、と思いを巡らせたところで一人の生徒が目に入った。
なるほど、人が少ないのも納得だ。東屋の一つで、灰色の髪が特徴的な生徒が読書をしている。寮は違っても、名前くらい聞いたことはあった。なにせ総合一位の秀才だ。
「……」
そこだけが切り取られたかのように音が無い。同級生たちの話し声が遠い。美術館の絵画でも見てる気分だ。
(放課後)
後日加筆します。
10/12/2024, 10:52:05 AM