お題 千年先も
私は蒸留所の樽
中にはウイスキーが入っている。
この蒸留所が出来て数十年。
この樽は開けられたことがない。
この蒸留所の人間は羨望の眼差しで私を見る
何故ならこの蒸留所の最古参のウイスキーが入った樽だ
今後私を千年先いやそのずっと先も寝かし続けると言っていた。
人間とは馬鹿な奴で年季が入れば入るほどいい味が出ると思っているらしい。
「天使のわけまえ」といって、中身が減って、代わりに味の深みが増すというが
このままだとそのころには天使のわけまえとやらで私の腹の中にはカスしか残らないはずだ
がっかりさせてごめんよ人間。
だが、そんなこと人間だって流石にわかっているはず。
結局この私をどうするつもりなのか…
私の運命は千年先にしかわからない
私の運命が決まるその時まで
私に出来ることは寝ること
それまでゆっくりこの暗い倉庫で寝かせてもらおう。
2/3/2023, 7:58:19 PM