涙の跡、は分からないものだ。
よくフィクションでは、イケメンヒーローがヒロインに向かって「泣いたのか?」と涙の跡に気が付く。
が、実際にこんな事がありうるのだろうか?
いや、ありえない。断じて無い。
泣いた本人は涙の跡が分かる。なんかカピカピする。
しかし、他の人から見て透明な跡に誰が気付くだろうか。
「でも、大泣きしたら分かるじゃないか!」
と言ってくる人がいるかもしれない。
よく考えてみてほしい。
それ、涙の跡じゃなくて目の腫れ具合で気付いてないか?
さて、何故ここまで自信たっぷりに言えるのか。
それは自分が気付かれた試しがないからだ。
瞳が潤んでいると気付かれてしまうこともあるが、そういう時は「目にゴミが入って」「目が痒くて」「あくびで」などと言うようにしている。
涙に気付かれたところで面倒な顔をされるからだ。
そう、涙というのは面倒なものである。
書いていてハッと心配になったのは、この文章だけを読んで「あなたの親、それ毒親ですよ!」と言ってくる輩が現れないかだった。
もちつけペッタン。人の一面だけを見るんじゃあ無い。
何せ、自分は割とすぐに泣く生き物なのだ。
今でこそ月に0〜2回程度に収まるようになったが、精神が揺らぐと週に8回泣くこともある。
あまりできる経験ではないので想像し難いとは思うが、週に8回泣かれてみてほしい。超面倒臭い。
だから自分に限っては、気付かないフリも賢い選択だ。
勿論「絶対気付いてるだろ!」と腹が立つこともある。
が、後で冷静になると、そりゃそうかと思う。
「察してを察さない」は、世渡り術のひとつなのだ。
そういう自分も知人が泣いているのを見て「おぉ…面倒臭ェな…」と思うことがある。
友人ならまだしも、他人は普通に面倒臭い。
まぁ週に8回も会わないし、別に慰められるけど。
どうだろう。
いつもは話が脱線してしまいがちだが、今回は結構道に添えていたんじゃないだろうか。
涙の跡というものは、まず気付かれにくい。
そして、気付かないフリもされる。
総合的に、涙の跡というのは分からないものなのだ。
7/26/2025, 10:22:26 PM