きっと忘れない
カレンダーに記された、覚えのない赤マル。
この日何かあるの?と夫に聞いたら知らない、書いてないと言う。
「ボーッとして自分で書いたんじゃない?」
夫は笑うけれど、確かにいつもボーッとしてるけど、これは本当に覚えがない。
でも私が書いたのかな……。
忘れちゃいけないことだったのかな。
誰かとの約束、それとも何かの決まりごと、いつかの記念日、ぽつんと付いた赤マルは知られたくない秘密の暗号のようで。
長く生きてきたから、大切なことも思い出も過去も増えすぎて、ふっと分からなくなってしまう。
「ああそれ、こっちの友達と会う日だわ」
週末帰省した長男が、あっさり白状した。
普段居ないくせになんで実家のカレンダーに書くのよ、ややこしいー!ときつく抗議しておいた。
8/21/2025, 2:07:52 AM