すれ違い
都会で生活をしていると、一日に何人の人とすれ違うのだろう。
そもそも「すれ違う」とは何だろうか。
自分の前を横方向に通り過ぎた人を「すれ違った」とは言わない。
自分が動いていない時に、近くを通った人を「すれ違った」とも言わない。
つまり、移動している自分の横をだいたい百八十度違う方向、自分から見て後ろに他人が通り過ぎていく事を、我々は「すれ違う」と言う。
距離も大切だ。
百メートル離れた位置ですれ違っても、それを「すれ違う」とは言わないし、逆にゼロ距離ならば「ぶつかった」だ。
個人のパーソナルスペースや、その時の周囲の人口密度にもよるけれど、恐らく数メートル程度だろう。
ここまでではっきりしたのは、すれ違うとは「移動している自分の横数メートルを、後ろに通り抜けて行く」事であるようだ。
そんな事を考えて外に出た。
今日初めてすれ違うのは誰だろうという期待を胸に道を歩くと、正面から若い家族連れが歩いてきた。
ふとB'zの「愛のバクダン」の歌詞が頭を過ぎる。
"愛のバクダン もっとたくさんばらまいてくれ すれ違う人たちのポケットに"
幸せそうな彼らの愛のバクダンは、すれ違いざまに確実に、私のポケットに入った。
10/20/2024, 7:52:23 AM