わたしの担当は『青いバラ』だ。
ここは花を育てて出荷する場所。たくさんの検体がそれぞれの花を育てて、それをかご係の子どもが集めて出荷の準備をする。
検体というのは特定の花を身体に生やすことができる人造人間らしい。噂好きのユリがそう言っていた。
――人間の暮らす地上は荒れ果て、シェルター無しでは生きられない。どこもかしこも人工物だらけのシェルターに嫌気がさした我々は癒しを求め、昔の文献をもとに植物を復活させた。そうして復活したのがお前達だ――
仕事はわたし達の成り立ちを読み上げてからはじまる。
「お前は我々の自信作だ。植物が土に自生していた時代ですら難しかった花が蘇ったんだ」
最近できたばかりのわたしは、白い服を着た人間たちに囲まれながら仕事をする。花を1本1本検品し、身体の異常や疲労具合を調べられ、その都度調整が行われる。
まだわたししか担当がいないからすごく忙しい。はやく検体を増やしてほしいものだ。
それにしても、たった1本の花に何万何千万の大金を支払うなんて人間は変わってる。そんなに欲しいのなら身体から生やせばいいのに。変なの。
【題:花咲いて】
7/23/2024, 2:31:50 PM