近藤 英斗

Open App

 僕はいつも思う事がある。
 
 よく言われるんだ、君はまだ子供なんだから無理にそんな事をしなくてもいいんだよって。
 
 多分その人達が言っている事は間違っていないし、そう言われるとそうなのかって、少しは甘えて見ようって思う時もあったりする。
 
 でもこういう時、少ししてから思うんだ。
 
 これは僕にとって普通の事なんだって。

 同い年かなって子供達が学校に向かう中、僕は車に乗って色々な人の元へ物を届けてる。

 その子達が遊んでいる間に僕は次の荷物をギルドに取りに行って、晩御飯食べている時は・・・・・・同じかな? その後皆んなが寝静まった頃に僕は遠くの場所まで移動して、眠るのはいつも日が昇り始めの、黒と紺色が一緒の空になってから。

 別に辛くはない。どちらかと言えば今僕は幸せだ。

 でも、大人は僕みたいな子供がこんな仕事をしていると、悲しそうな眼で僕を見つめてそう言ってくる。

 それは素直に嬉しい。だけど、そう決めつけないで聞いて欲しいんだ。

 届けた先で、感謝された時の嬉しさを。配達物を受け取った時、どんな道を走ろうかって思いを巡らすワクワクを。暗い山道の隙間から時折見える宝箱みたいな夜景の感動を・・・・・・。

 どうか僕の幸せを決めつけないで。
 
 それで、もし言葉を貰えるなら・・・・・・ありがとうって言って欲しいな。

 それは僕の幸せだから。

3/31/2023, 12:07:54 PM