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行かないでの続き

愛言葉

テレビから流れて来る
『愛してる』『可愛い』と言う言葉達

一度は、好きな人に言われてみたいと
言う憧れを持つ女性達

そんな恋愛モニター番組がなんの気なしに
付けていたテレビから流れていた。

(くだらねェ....)ハイネは、ぼーっと欠伸を
しながらそろそろチャンネルを替えようかとリモコンに手を伸ばしかけた時....

『そう言う事をちゃんと言葉に出来る
男の人って良いですよね....
せっかく彼の為にお洒落したのに
何にも言ってくれないと正直
冷めますね....』と言う番組の台詞に
何故か心にグサッと針が刺さった
様な痛みを覚えるハイネ

『両思いになった途端愛情表現をして
くれなくなったと言うか前は、キスや
ハグを定期的にしてくれて可愛いって
褒めてくれたのに両思いになった途端
言わなくても分かってるだろうって態度に
なったりして何だかそれにこっちも急に
熱が冷めてこの人と別れたいなあとか
思ったり.....』

別れたいと言う言葉がハイネの胸に矢の
様に刺さった....

ハイネは、今までの自分の行動を無意識に
振り返る。

【片思いの時 好きな子に意地悪や悪口ばかり言っていたしやっていた】

【両思いの時 キスなんてハードルが高いし自分は別に一生しなくて良いと思っていた 可愛いなんて言葉を片思いの時から
一度も本人を目の前にして言った事が
無い事に今気付く】

もしかしてこれをこのまま放置しておくと
シズクの口から....『私....ハイネと....別れたい.....』なんて言われてしまったら
どうしよう.... ハイネの中に急に
危機感が生まれる。



そうして後日....

ハイネ恋愛で困った時にはナイトミーナ
カップルに相談するのが常だった

「キスってどう言う時にすれば良いと
思う.....」ハイネぼそぼそと二人に
恋愛相談をする

それを聞いたミーナとナイトの二人は
「「え?まだしてなかったの...」」と 
同時に突っ込んだ

その突っ込みにハイネ顔を赤くして
膝を抱えて俯く

「どう言う時って.....したい時にすれば良い
じゃない」
「部屋で二人っきりになった時とかじゃない」とナイトミーナがそれぞれ返答するが

「しっ したい時とかなんてねェし....
二人っきりとか....そう言うの意識したら
逆に上手く喋れなくなるし無理」ハイネ
久しぶりにヘタレの部分が出てしまう

ミーナとナイトは、溜息を吐いて
((両思いになっても手が掛かるなあこの人))なんて呆れ半分苦笑半分でハイネを
見つめていた。

「まぁそう言うのは、あまり意識せずに
普段通りにしてれば良いんだよ」

「そうよむしろ無理矢理そう言う事やったらそっちの方が最低よ!!シズクを傷つけたら
許さないからね」

そう言って二人は、「後は、ハイネ次第だよ!」「シズクを泣かせる様な事するん
じゃ無いわよ」と言って部屋から出て行った。

ハイネは、思わず二人を引き留めそうに
なったが四人で居たらハイネは何も言わず
だんまりを決め込んで何も言わず一日が
過ぎるだろう 二人もそれを分かって居る
から部屋を去ったのだろう

そうして暫くしてシズクがいつも皆が
集まる部屋にやって来た

シズクが部屋に入るとハイネしか居なかった どうやらミーナとナイトはまだ来て
居ないか 帰ってしまったらしい....


「ハイネ....」シズクがハイネに呼び掛けるとハイネは、ソファーの上で肩をびくりと
震わせる。

「? ?」シズクは、ハイネの様子が
いつもと違うので首を傾げる。
「ハイネ....どうしたの?」
「べっ....別に....」ハイネは、ちらちらと
横目でシズクを見る

すると.... ハイネの顔がシズクに近づき
シズクの前髪の方へ視線を向ける

そこには、ハイネがバレンタインデーに
シズクにあげたヘアピンが留めてあった。

「これ....」ハイネは思わず呟く
するとシズクは、ハイネが気付いてくれた
事が嬉しくて「うん!」と頷く

「ハイネがくれたの使ってみたくて
付けて来たの....あっ....無くしたりしないから大丈夫だよ....」

シズクは、嬉しそうに にっこりと笑う

そんなシズクの笑顔に堪らなくなる
ハイネ 顔に熱が上がり下を向いて
俯くのが精一杯だった。

「っ....ク.....可愛い.....」ハイネは勇気を
振り絞ってぼそりと呟く

「うん!ハイネが選んでくれたヘアピン
とっても可愛いくて気に入ってるよ
本当にありがとう!」

「馬鹿シズク!!」「え?」
シズクは、目を丸くしてキョトンとして
いたが.....実は小声でハイネは
恥ずかしさを押し隠して
『シズク.....可愛い』と言ったのだが
シズクには、最初の言葉は、聞こえなかったのでヘアピンの事を褒められたと思い
若干ズレた返答をシズクは、
ハイネにしていた。

しかし言い直す事は、ハイネの心臓的に
無理だった。

シズクを褒めるだけでいっぱいいっぱいの
ハイネ キスなんてする余裕は、
ハイネには無かった。

自分のあげた物を嬉しそうに付けてくれるシズクを見るともっとその笑顔を見ていたくて顔を近づけたい衝動に駆られたが
シズクに変に思われたく無くて
ぐっと我慢するその衝動がナイトの言って
いた キスがしたい時に繋がるのだが
ハイネがそれに気付く事は、無かった。

こうしてハイネのシズクに対する
愛の言葉は、微妙にシズクに届かず
今日もハイネは、好きと言う愛言葉を
馬鹿と言うけなし言葉に変換してしまうの
だった。....

10/27/2024, 5:06:41 AM