【初恋の日】
あぁ…私は彼に“恋”というものをしているんだ。
それを理解したのは、現代文の授業中に先生の雑談を遮るようにとある小説の一文を黙読したときだった。
『中心の色が変わった』
その文章を読んだ私は、ふと自分がよく見る色を思い浮かべたのだ。
制服の紺色、黒板の黒とは言えない緑色、空の青や雲の白を思い浮かべる中で、自然と目はあの藍色に魅入られた。
藍色のシャーペンを動かす彼のすぐ側には、藍色のペンケース、机には藍色のキャラクターのチャームを付けたスクールバッグがかかっている。
どれくらい見ていたのかはわからなかった。けれど、頭に響くチャイムが時間切れを告げる。
私はこの授業中ずっと見ていたのだろう。
板書を写すために急いで黒板を見ると、そこには黄色い文字で、『それが初恋というものなのです』と書いてあった。
5/7/2026, 7:09:15 PM