海深くにいたのは、美しい人魚姫。ではなく、恐ろしい海の魔物だった。 海上で美しい歌声を響かせ、いくつもの命を刈り取る化物。 その海の魔女に、少年は、恋をしてしまった。 小舟を出して、彼女の歌声を辿る。 濡れた長い黒髪の化物は、すぐに見付かった。 少年が手を差し出すと、意外にもその手を取る。 そして。叫び声を上げて、手を離した。その手は、火傷している。 ああ、一緒にはいられないんだな。 少年は、悲しみに沈んだ。
1/20/2024, 10:43:03 AM