好きだったもの
それがわからない。
嫌いなものならわかるのに。
例えば、私のことを好きな人のことが嫌い。
なんとなく、取り留めもなく、違和感や不快感の類の感覚がする。
病名はない。
ただ、
風邪の初期症状のように、喉にちくり棘が刺ささってイガイガする。
そんな症状を抱えている。
この症状がもたらす疲弊という感情を、豪語したいという気持ちはいくらでもあるのに。もはや言語化をするのも億劫に感じて、口は閉ざされている。
溜飲は下がっているのか、下がっていないのかもよくわからない。
新たな空気が入り込んでこない。
胸の中であるだけの酸素が回るだけ。
馬鹿らしいと己を鼻で笑ったところで、ぽつり置いてかれる本心は虚しさでしかなく。
鏡の前に立てば、誰も写っていないように見えた。
形をなぞって縁取ってみても、色が見えなかった。
色を用意しても、顔がなかった。
顔を貼っても貼っても、剥がれてしまう。
粘着力の低いテープの格闘するように、神経にささくれができるような感覚。
人間の形を作るのはあまりに難しい。
窓に反射して映る自分の姿は人間でない気がして、どうしても目を逸らし、怯えて殻に篭る。
じんわりと重さを連れる筋肉痛が、現実を感じさせて。こんな世界と細く繋げてくる。
1/15/2026, 3:02:43 PM