『どこにも行かないでほしい』
貴方はいつも、急に現れてはまた消えて、私は貴方とまともに話したことがないよ…
少しでいい、貴方と過ごす時間がほしい。
こんな事考えてはいけないと、分かっているのに考えてしまう。いつか本当に居なくなってしまうんじゃないかって…
誰も居ない部屋で私は呟く。
『どこにも行かないで』
こんな事言っても意味が無いのは分かってる。
でも、言うだけならタダだよね?
私は君を愛している。貴方は私をどう思っている?
…来世は貴方と沢山話せたらいいな…
もうすぐ病で私は死んでしまう。
あの人が今日部屋に来た。泣いていた。
『置いていかないで』
彼はそう言った。ごめんね…私は貴方にどこにも行かないでと思っていたのに、逝ってしまうのは私だったね
『最期に貴方の顔が見れて嬉しい』
彼女は最期にそういい、この世を去った。
僕は君の居た部屋でひたすら泣いた。
何もできなかった自分に腹がたった…
こんな事言っても無駄だって分かってるのに、
『どこにも行かないでほしかった』
僕は、今は見えない君にそう言った。
6/22/2025, 1:04:26 PM