よつば666

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お題『友達』

 船星(ふなぼし)は歩みの止まらない大神の元へ走る。しかし足の遅い船星は中々追いつけないでいた。
湖畔までそう遠くないのに––––。

船星「どうして。僕は……」

息を切らしてやっと大神に追いついたと思い、顔を上げたらすぐ近くにあの女子生徒が居た。
その姿を見た瞬間僕の心臓の音は走っていた時より早く鳴り、無意識に僕より遥かに身長の高い大神の後ろに隠れた。

一方大神は萌香達と談笑している。

突然話しかけてきた大神に最初萌香は戸惑っていた。

大神「こんにちわ〜。2人して何してんの?」

萌香「え、えっと。あの……う、海を見てて」

真珠星(すぴか)「っ!?萌香、海じゃないって!?湖畔だって」

萌香「そ、そう。湖畔!湖畔を見てたの!」

顔が赤くなる萌香、呆れる真珠星に爆笑する大神。

大神「自分(萌香達の事)ら、面白いなぁ。漫才コンビ?」

真珠星「違うし。同クラ(同じクラスの事)で友達。……で私らに何よう?ナンパ?」

大神「そうそう、ナンパ。……俺の背中に隠れている、友達の船星君が自分らにナンパしょう言うてな……」

僕は焦っていた。背中にいる事が大神にはすでにバレていた事もあるが、ナンパではないと誤解が取れないまま、あの女子生徒と話すことになってしまう事に。
あと僕は家族以外の女性と話すのが苦手だ。
だからジャケットの裏ポケットから狐風の覆面を取り出し、被ってあの子の前に頭をペコペコ下げながら登場した。
そしたら案の定あの子は引いてしまい、友達(真珠星)の手を掴み逃げるようにその場から去ってしまった。

End

10/26/2024, 6:37:12 AM