窓越しに見えるのは
左手の薬指に指輪をしたふたり
オレンジ色の明かりに包まれた
少し広いダイニングで夕食を囲んでいる
笑いが絶えないとまではいかないけれど
お互いにしか聞こえない声で
もう分かりあっているような会話を
重ねて、重ねて、紡いでいるように見える
その美しさにめまいがして
座り込んだ足元には
土砂降りのあとの河川のような
濁流が私の方へと流れてきていた
目に見えるのは
一瞬にして流されるはずの濁流なのに
めまいがして座り込んだはずなのに
そこから少しも動かなかった
動けなかった
あの人からほのかにする
あの香りは
香水なのだろうか
柔軟剤なのだろうか
会いたいのに
早く会えなくなってほしい
あと2回
7/1/2024, 10:36:22 AM