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お題:本気の恋

 自分の友人だったやつは、恋多き奴だった。
恋人ができたら、別れ、また別の恋人ができ、しかも二股、三股平然とするやつだった。
「お前いつか恨まれて痛い目にあうからな」と自分は奴に再三警告していた。
しかし、奴は自分の話を流して聞いていただけだった。

 ある日、奴から相談を受けた。
「本気で好きな人ができたから手伝ってほしい?」
こいつはこれまでの行いが分かってないのだろうか?
 自分はあまりに都合の良い話だと思った。
だからこそ手伝ってあげようと思った。
「いいよ、手伝ってやるよ」そう言うと奴は喜んだ。
奴が好きな人は俺と同じ学部の同級生だった。
残念ながら奴は俺とは違う学部だ。

色々縁があり少しずつだが仲良くなった、奴から早く紹介してほしいと頼まれる程親しくなったと思う。
だからこそ一度奴には痛い目に合わせてやろうと思う。
勿論酷いことをしてる自覚もある。

仲良くなった子に頭を下げ、奴に紹介してと頼まれたこと伝え会ってもらった。

勿論付き合う事はなかったようだった。

『お前あの子に俺のこと何て紹介しやがった』
会ってそうそう奴は俺の襟首掴みかかって来た。
「普通にありのままお前を伝えただけだ!」
『あの子が俺のこと浮気ばかり最低なやつだがら無理って言ったんだぞ』
何言ってんだこいつと思わず鼻で笑ってしまった。
「浮気も平然とするやつに紹介しただけ有り難く思え」
『俺初めて本気で恋したんだぞ!』

奴がそういった時、自分の堪忍袋の緒が切れる音を聞いた気がする。

「お前と今で付き合った子だって本気で恋してる子は居たんだぞ。
何自分だけ初恋だから協力しろ
なんていくら何でも虫が良すぎる話だろ!」
声を荒げる事ない自分が思わず声を荒げた。

 だって自分だって本気で恋をしてた。
でも奴の恋人になったのを知ってたから言えなかった
自分の好きな人は奴が好きだったのもずっと見てたから知ってる、片思いの末付き合い出した時も幸せでいてくれるなら、この気持ちは墓場まで持っていこうと思えた恋だった。
でもあの人は自殺した。
奴の浮気を辞めてほしいと訴えた続けたが、自分の一方的な想いと気づき死にますと遺書があったらしい。
 
自分はなぜ浮気したか問い詰めた時の奴言ったことが忘れられない。
『浮気するのなんて当たり前じゃん何言ってんの?』
人を殺しておいて此奴には裁きもない何て不公平だ。
だから仲良くなった同期に全てを話したうえで復讐した。
もう一生恋なんてしないと此奴の言質を取るためだ。
そして自分の本気の恋を昇華させるための復讐だ。



9/12/2023, 12:38:59 PM