旅は終わりがあるから面白いのだ。
最終日には帰りたくない、現実に戻りたくないと思っても、帰る場所があるからこそ安心して知らない土地を歩けるのだし、現実に帰った後に「あぁ楽しかったなぁ」と余韻に浸ることがより旅を特別なものにする。
期限の定めもなく目的も帰る場所もなかったら、それはただの放浪だ。
人生は終わりなき旅だろう。
もちろん、全生物等しく死という終わりはやってくるのだが、それがいつ訪れるのか誰も知らない。
今歩んでいる道が正しいかどうか、行き着く先はどこか、ずっとわからないまま日々のちいさな選択を迫られ続ける。
この仕事を選んで正解だったのか、あのときの発言は間違ってなかったか、この人と付き合っていていいのだろうか、今日食べるべきは肉かそれともケーキか、きりがないほどに選択と反省と後悔を繰り返す。
せめて、あなたの目的地はここですよとフラッグを立てておいてくれれば、こんなにも生きることに悩まなくて済んだのに、神様は意地悪だ。
こうして人間が右往左往しているさまを見て楽しんでいるとしたら、なかなか悪趣味だと思う。
せめて、最期の地に行き着いた時には、なかなか頑張ったねぇと褒めてもらいたいものだ。
5/31/2024, 3:08:35 AM