泡藤こもん

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終わる時というのは、あっけない音を立てて訪れるものらしい。
「⋯⋯ねえ、何か言ってよ」
額に冷や汗が滲む。そんな私を無視するような素振りで、彼は無言のままだった。
こんなにも容易く終わってしまうのか。私たちが一緒に過ごしてきた月日さえ無かったかのように。⋯⋯いや、その時間があったからこそ。崩れる瞬間があまりに短く感じるのかも知れない。
「お願いだから、何か、何か言ってよ⋯⋯!」
私がどれほど彼の体を揺すっても、彼はちっとも動じなかった。
真っ青な画面から、私は目を離せないというのに。

5/19/2023, 10:11:17 AM