REINA

Open App

雨に佇む



夏。突然のゲリラ豪雨。 
傘を持っていなかった私はずぶ濡れになった。
たまにはこういうのもいいかと思い、雨の中をゆっくり歩く。

白のワイシャツで下着が透けていたが、そんなのも気にしない。道行く人たちの訝しけな目線も気にはならない。

そもそも私は雨は嫌いじゃない。
普段は傘をさすけれど、ごく稀に濡れながら雨の中を歩きたい気分の時もあるのだ。

シャツが肌にまとわりつく。
だがそんな感覚も、こんな天気じゃないと味わえない。

小学生の頃とかは楽しいと思ったことをやれた。
少しずつ成長するにつれて、理性がきいてくる。
雨に打たれることを躊躇するようになる。
もっと、もっと自由でいいのに。
そう、自分に言い聞かせながら。

雨の冷たさ。濡れた肌。
ねず色の空。髪から落ちる雫。
湿り気を帯びた空気。吐き出されるため息。
私の耳に聞こえる雨音。

それらが全部、愛おしい。


8/27/2024, 12:37:10 PM