題:繰り返しの日々
人間の寿命は短い。
天界の12日が人間界にとっての12年のように、私にとっての1年は、人間にとっての百年。
「永遠などない」
人間はそう言う。でもそれは人間だからで、永遠はある。
星は死ねない。
死んでもまた新たな星になる。繰り返し繰り返し生まれ変わる。
それは魔女も同じ。
魔女はある程度成長すると肉体の成長が止まる。それに、仮に死んだとしても肉体と魂が縛られてるから、魂が離れることはなく、肉体が回復する。
死ねないから生まれ変われし、繰り返しの日々は大変つまらない。
私が生まれてから一万年以上が経った。
世界が変わっていく様は何度も見てきた。
魔女狩りが始まっても、魔法が禁忌になっても、どうでもよく思っていた。
……でも、今回だけはどうでもよく思えなかった。
私を魔女だと知りながら、仲良くしてくれた人が死んだ。
あっという間だった。たった九十年だった。この国の姫だった。よく笑う、可愛い子だった。
人間が死んでも何も感じなかった私が、人間が死んで初めて泣いた。
永遠なんてないということを、痛いほど思い知らされた。
人間は、寿命が短く儚いからこそ美しいものなのだと思った。
お題『永遠なんて、ないけれど』
9/29/2025, 7:31:49 AM