蒼夏

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ー現実逃避ー


俺は逃げている。


生き残るには逃げるしかないのだ。


でも、誰も追いかけては来ない。


何故だろうか。

ここにはこれ程多くの食糧と水がある。

それなのに…




きっとアイツらは自分の命が消えることより

弱いヤツになることを恐れているんだろう

だから逃げる者を弱いヤツと馬鹿にするんだろう





俺はアイツらに弱いからと追い出されたが

俺は俺のことを弱いとは思っていない。

本当に逃げているのはアイツらだと思う。



おっと、大きなスイカがある。


ムシャムシャムシャ…ムシャムシャムシャ…


3個も丸ごと平らげてしまった。
でもまだまだあるから大丈夫だ。


次の日もその次の日も俺は
食べ物を食った。
そのどれもが不思議と虫もついていなかった。




おや?

あっちにも俺と同じ種族がいる。

最近こんなのが増えてきた。
それだけ弱いヤツを仲間外れにするのが
流行っているのだろうか






何ヶ月かが過ぎた。


また食糧が尽きた。





俺は知っている。

逃げれば助かるのだ。

逃げてきたから今生きているのだ。






ガサッ。ガサッ。




枯葉をふむ音が聞こえる。

後ろを振り返った。

肉の塊がこちらを怯えた目で見つめている。



しかし、
コイツは俺より弱い。


たった二本で大きな部分を支えている。
おまけに走るのは遅い。


コイツは食える。




そう思った時、


硬い黒い実が知覚する前に

俺の足に当たった。



二本足のあれは相変わらず怯えた目で見るのだが

黒い実は見た目に反して強かった。

俺の足の皮を剥いで

とてつもない痛さに俺は動けなくなった。




何故だ。何故だ。

何故こうも食って生きていくものは
皆弱いのだ。
 





俺は今、俺を初めて弱いと思った。

俺は逃げる以前に無知だった。

だが
俺は今、
二度と逃げられない世界に逃げようとしている。












































2/28/2026, 2:11:03 AM