時を繋ぐ糸押入れへ隠れ、戸の外に糸電話の一方を投げる。真っ暗な中、戸の隙間から光が漏れた。糸電話の糸がピンと張られる。「もしもし」「久しぶり、元気だった?」糸電話特有のくぐもった声がいい。そちらはいつ? あなたは本物? 頭をかすめる疑問にノーを突きつける。なんだっていい。声さえ聞ければ。戸を開けてしまうと、糸がたわんでしまうのだから。
11/26/2025, 1:13:23 PM