ミミッキュ

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"沈む夕日"

 買い物を終え、パンパンに膨らんだ大きなマイバッグを片手にスーパーの外へ出る。
 空を見上げると、店に入る前より空の橙が色濃くなっており、日もだいぶ低い位置にあった。
──思ったより時間食ったな……。早く帰って持ち場に戻らないと。
 こちらは個人病院で、院内の医師も自分一人。その為どこかで食材や日用品の買い出しをしなくてはならない。
 週に一回ほどのペースで『買い出しに行きたいから二時間程受け入れ頼む』と依頼をして最寄りのスーパーへ出ている。そうしなければ日常生活を送る事さえ困難だし、周りも理解しており快く承諾してくれる。
 だが、なるべく早く終えて帰る事に越したことはない。
 『二時間と言わずゆっくり買い出しに行って来い』と言われているが、甘えていられない。
 一人と子猫一匹暮らしの為買う量は少ない。二時間で充分。それ以上ゆっくりなどしていられない。
 医院までの道を早足で歩いていく。
──早く、一分でも一秒でも早く。

4/7/2024, 12:15:17 PM