暗闇を照らすのは赤い灯火。
真夜中だと言うのに鳴り響くサイレン。
俺は追われている。
早く逃げなければ。
捕まる。
捕まったらヤだ。
だから逃げた。
全力で夜の闇の中を走り抜けていく。
シャツを濡らす汗が気持ちいい。
運動をするのは久しぶりだ。
なんか気分が良くなってきた。
俺は走って、走って、走って。
住宅街を抜け、商店街を抜け、海に辿り着いた。
真夜中の海は、きらきらと光輝いている。
大学生ぶりの青春を堪能したみたいで。
心が踊り、ハッピーになる。
サイレンの音が近くなる。
そして聞いたことのある音になる。
ピピピ。ピピピ。ピピピピピピピ。
僕は目を覚ました。
「まーた他人の夢か。この人、だいぶおかしいんじゃないか?」
僕は独りぼやきながら、目覚まし時計を見やる。
まだ2時か。
うーん。運動でもするかぁー。
僕は都会の街を駆けていく。
真夜中なのに外は明るい。
適当にあたりを走ってから家に戻ると、時刻は3時。
久しぶりに走って思ったのは、ビル風がクソうざかった。
「とりあえず二度寝しよ」
漫然と、僕らの夜は更けていった。
〜真夜中〜
5/17/2023, 2:59:52 PM