ななせ

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私は惚れっぽい方だ。
クラスでかっこいいと言われている子はそれだけで気になるし、プールの監視員のお兄さんにも一目惚れしてしまうくらい。
でも、それが恋かと聞かれると首を傾げる。
付き合えるなら付き合いたいが、どうしても、というわけではない。それに、その人が誰かを好きという噂を聞けば諦める。
その感情はお菓子みたいに目移りするもので、数ヶ月すると別の人を好きになっているのだ。
相手を見初めて、体を貫くような衝撃を、未だ受けたことがない。
相手のことを考えて頭を悩ませる夜を経験したことがない。
思わず吐いてしまうような胸を掻き毟るほどの愛を感じたことがない。
何だか辛そうだなんて楽観的に考えている。
あれは恋の一つ前、どちらかと言うときっと憧れに近いものだと思う。そうすると、私は初恋すらまだと言うことになる。
このままだと、恋をしないで死ぬ可能性も出てきた。
人は恋のみによって生きるわけでも無いが、どうせなら体験してみたい。こういう話を書く時、リアリティも出るだろうし。
どこかに邪悪なくらいの重い愛の持ち主はいないだろうか。私と対局にある存在だ、きっと面白い文が書ける気がする。


お題『初恋の日』

5/7/2024, 10:41:16 PM