自転車をこいでいた急な坂を一気に下っていたそんなとき、追い風が吹いた自転車は制御できない程のスピードで車道へ飛んだ右を向くと人と目が合った時が止まった四十代位の女性だろうかスーパーの帰りだろうか意外と冷静にそんなことを思いながらフロントガラス越しに僕らは悟った奥歯を噛み締め、全身を強ばらせた目を瞑り、記憶を巡らせるそして全てが動き出した──その瞬間一人のちっぽけな人間が、死んだ
1/7/2025, 11:01:33 AM