手の届かない夢は欠けたりしない。背中合わせに辿り着いた仮想はかつての姿を失って、もう一つの現実としてまた眼前を覆うようだった。夢の欠片で手を切って、その傷が中々治らないことを、現実を知ったと呼ぶのはあんまり好きじゃない。たぶん夢を見るのが下手になっただけだ。痛いのは嫌いだったような気がするけれど、今ではなんだかそうでもなかった。星に手を伸ばしては落としてしまう人間たちに、決して手の届かない一等星がありますように。全ては遠き理想郷。そういうやさしさがあるって思う。永遠に。
11/1/2023, 1:21:54 AM