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「手を繋いで」


「ねえ、お母さん!手、繋ごう?」
「……」
「ほら、ね?もう寒くないよう、2人ぼっちだね」
「……」

手を繋いで、ぎゅっと強く握る。
もうボロボロで『お母さん』の代わりにならない。
それでも、僕が『お母さん』と言っているのは、唯一無二の存在だから。
お母さんしか、僕を認めてくれないから。

「お母さん、あのねっ、今日もねっ、喧嘩したの」
「……」
「うりゃあっ!って殴ったらね、アイツら、無様に倒れちゃって!さっきまでの威勢はなんだったんだ?って煽ってやった!そしたらさ、アイツらってば『しね!』とか言いながら逃げてやんの!あはっ、僕ってば強いなぁ」
「……」
「ね、凄いでしょ、お母さん!僕ねぇ、力だけは自信あるんだぁ!凄いもん、お母さんから貰ったこのチカラ。凄いもん!」

答えてくれないし、無視される。
一点を見つめては、何も動かないお母さん。
そんなお母さんが愛おしくて、話しかけてしまう。

ああ、もっと前から殺っておけばよかった。
これが『自由』なんだって、証明できたのにね。
ははは、ざーんねん。

12/10/2023, 2:58:27 AM