しゅら

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神様だけが知っている

 ある日少年が神様にお願いしました。
「ナオと両思いになれますように」

 やがて年月が経ち、少年は青年となった。
「あなたをこれからも愛し続けます。僕と一緒に人生を歩んではいただけませんか」
「喜んで。二人で幸せになろうね」
 焦がれ続けた彼女と結婚し、彼らは幸せに暮らしていた。そんな折、彼はふと訪ねてしまったのだ。「どうして僕を好きになってくれたの?」と。
 彼女は、ナオは口に指を当て、はにかみながら「わかんないよ」と幸せそうに答えた。
 この世界に神様がいたとして、僕の願いを聞き入れてくれたとして、その結果、彼女の思いが捻じ曲げられてしまったのではないか?彼女には、もともと彼女の求めていた別の幸せがあったのではないか?
 僕にそれを証明する手立てはない。答えを知っているのはきっと……。
「どうしたの?」
「ねえナオ、今、幸せ?」
「うん!とっても!」
「そっか」
 彼女の呼吸を、鼓動を、温度を感じる。
 ああ、僕はそんなこと、知る必要はない。答えを神様しか知らないのは、神様以外が知る必要がないからだ。
 二人の幸せは、これからもずっと続いていく。

7/4/2024, 3:52:09 PM