織川ゑトウ

Open App

『超蝶飛躍(ちょうちょうひやく)』

ここはどこだろ。
暖かい……
歩き進めば見えてくるのは、なんだろこれ。心臓?
心臓は宝石のように輝いて周りの血液を赤々と照らしている。
もうすこし、奥に進めば見えてくるのは、うーん?羽かな?
真っ白に塗られた羽。少しだけ黒色が見えるような。

奥に、奥に奥に奥に奥に、
落ちている羽をたどって行けば、着くのは背中?
白いペンキが垂れ落ちる。
嗚呼、この翼、本当は黒色なんだ。
可哀想に。わざわざペンキで塗られたのね。
「正しい」と言う言葉に溺れ自我を失ったのね。

「善」「悪」そして「偽善」

自らの正しさそれが善。他人の正しさそれが悪。
そして他人の正しさに溺れてしまったのが偽善。

他人から見たら貴方の羽は黒なのでしょう。
だから白に塗り替えられている。

善に見せようたって結局は偽善。見せかけだけ。

でも、貴方にとってはこの羽は白色なんでしょう?
それなら間違っていない。ペンキのせいで羽が重くなって飛べなくなっている。
大多数には黒に見えても、必ず貴方の羽を白色だと気づく人はいる。

あぁ……足にだって重りがついている。

「親」「友達」「先生」「社会」「個性」「恩人」

ゾンビのように何度倒しても沸いてくるこの言葉。
切っても切り離せない。
だったら私が切ってみせましょう。

何を言われたのかしら。「不細工」?「死ね」?「生きてる価値なし」?
……大丈夫よ。貴方は貴方。誰も理解してくれなくたって。恥かいて生きてたっていい

「「生きるか死ぬかは自分で決める」」……だったら死ぬ?それも自分で決めていい。

そろそろ飛ぶ準備はオーケー?       ……後はその背中を少し押すだけ。


お題『遠くの空へ』

※偽善=見せかけの善行。まやかし。



4/12/2023, 1:00:07 PM