『手紙を開くと』
珍しい。
小中高と友達が少なかった私に手紙が届くことなんて。
その手紙は、何かの請求書などではなく、しっかり宛名が書かれていて、差出人まで書かれてある、正真正銘私宛の手紙だ。
滅多に手紙の封を切るなんてことをしないから、ペーパーナイフなんて持っているはずがなく、百円均一の店でも買えるようなカッターで封を切った。
差出人の人に思い入れがあるかときかれるとあまりないのだが、普段手紙が届かない私からすると嬉しい。
封筒から紙を出し二つ折りになっている紙を開く。
「久しぶり。元気ですか?」
この言葉から始まっている手紙。
私ってこの人とそんなに仲良かったっけ?なんて思いながら読み進めていくと、小学校の頃にクラスメイトだった人からであることが判明した。
申し訳ないながらに、名前が聞き覚えがあるぐらいの人なので、顔は思い出せない。
内容を簡潔に言うと、この前参加した同窓会で久しぶりに話したくなったから、手紙を送ってくれたらしかった。
胸が高鳴った。
久しくこのようなこととは音沙汰がなかったものだから、嬉しかった。
とりあえず、今度会いましょうという返事をするために便箋を出した。
「是非、私も会ってお話したいです。」と。
それが、今の旦那さんで、幸せな生活を送っている。
手紙から始まった恋ではあるけれど、
結婚して20年経つのだから上出来ではないだろうか。
人生は何があるか分からない。
私みたいに平凡な人でも、こうして幸せな暮らしができている。
人生はすぐに諦めるものではない。
最後まで粘ってみた方がきっと楽しいよ。
5/5/2025, 5:01:29 PM