: 子猫
小さくうずくまったものが動いた
えっ、こんなところに…子猫?
僕に気づくとよたよたと立ち上がり
おぼつかない足取りで歩いてくる
それにしても、小さすぎる
近くに母猫の姿も見当たらない…
足元にたどり着いた子猫は
震える体全身で話しかけてくる
僕に向けられたか細い鳴き声が
生きたいと切実に訴えかけてくる
僕は子猫が壊れないように
優しく優しく抱き上げた
大丈夫、怖くないからな
そう言いながら頭をそっと撫で
近所にある獣医に診せにいった
目立った問題はないとのことで
ただ、もしこのまま飼うというのであれば
子猫にあう栄養バランスの整ったフードや
子猫が過ごしやすい室内環境を確保
してやれば、すぐに元気になる
あまり心配しなくて大丈夫だよ
もし何かあればいつでも相談に乗るから…
そう頼もしいことを言ってくれた
僕と一緒に暮らすか? そう聞くと
眠たそうにこくんと頷いたようにみえた
しずくと名前をつけた日から
もう何年たっただろうか
甘えん坊の寂しがり屋
膝の上で撫でられるのが好きで
僕の隣で眠るのが好き
僕は、しずくのすべてが大好きで
そう…すべてが愛おしい
ありがとう、しずく
寝ぼけながら僕のお腹を
ふみふみするしずくを
心から幸せにしたいと思った…
桜月夜
11/16/2024, 7:19:00 AM