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【まだ見ぬ世界】
5年一組山田太郎

そんな世界なんてあるのだろうか
僕は夏休みの宿題の作文を前に頭を抱える。
先生も酷いものだ、まだ見ぬ世界というのなら誰もまだ見たことないじゃないか。
そんなことを考えていても時間は進んでいく、とまってくれなんかしない。
「あーまだ見ぬ世界って何ー」
集中力が切れたのだろう僕の口から自然と出た言葉
まだ見ぬ世界という言葉だけが頭に響く。
母さんや父さんに聞いたってわからないや簡単だろと言って話を聞いてもらえない。まぁ僕も当てにしてないけど、
鉛筆を持っていた手を離し外に行く準備をする、仕方ない探すかと思い玄関のドアを開ける。
適当に歩き考える、
まだ見ぬ世界=知らない世界ってこと?
そんなことぼーっと考えいつもの公園に行く公園は息抜きにちょうどいい、辺りを見渡すと1人ブランコに乗っている女の子がいる。
僕より下だということはわかる。
するとこっちに走ってきて僕の目を見ていうんだ。
“あそぼ”
こんなこと言われるのは初めてだし、僕は兄弟がいないから少し嬉しかった。
いいよって言って女の子について行く。
ブランコを押してあげたり鬼ごっこをしたり色々遊んだ。
久しぶりにこんなに遊んだ友達となんか家でしか遊ばないし、
ましてや自分より下の子と遊ぶことが初めてだった。
空がオレンジ色に焼けた夕方。
すると女の子のお母さんだろうか、女の子に手招きをし女の子は笑顔で走っていった。こちらに頭を下げ女の子は僕に手を振りどこかにいってしまった。
心なしか空がいつもより綺麗に見えた。夕焼けもまた綺麗に見えた。あの子が気づかせてくれた。

僕の作文はもう決まりだ。


6/27/2025, 2:23:09 PM