「貴女を奪えたらどんなに」
灰色だった僕の世界を、貴女は色鮮やかなものに変えた。
貴女は僕の頭を撫でる。
まるで、年の離れた弟にするかのように。
まったく異性扱いされていないことはわかっている。
貴女に触れられることが嬉しい自分が悔しい。
貴女の笑顔はいつも眩しくて、春の花のように鮮やかで、思わず瞼を閉じてしまう。
貴女が嬉しそうにあの人のことを話すたび、僕の心には血のような赤黒いものが広がっていく。
嫌になるほど真っ青で澄んだ空を見上げる。
貴女が生涯を誓った人。
どんな人なのか、知りたいけど、知りたくない。
惚気話を聞きながら、どうやったら貴女を奪えるのかを考えている。最低だ。
奪う勇気も度胸も力もないくせに。
────カラフル
5/1/2024, 2:17:59 PM