サブリミナルレモン

Open App

「遠い足音」

西日が差し込む放課後の教室。
そろそろ帰ろうかと身支度をしていると

――「それ、好きなの?」

僕の鞄についたキーホルダーを指さして
君が笑いかけてくる。
いつも大勢の人に囲まれている人気者の君と
初めて交わした二人きりの会話だった。

かすかに遠い足音だけが響く
君と僕以外、誰もいない教室。

夕日が君の笑顔をいっそう輝かしている。

この瞬間を、僕はきっと一生忘れないだろう。

10/2/2025, 1:33:56 PM