〈スマイル〉
全身で笑う、真夏の向日葵のような人だ。
あたたかさを通り越して、暑苦しいときすらある。
そして、その花が咲く季節の陽光のように、ジリジリ、ジリジリと。気がつけば、全身、彼への気持ちに焼けていた。
今は冬。
寒い寒いと身を縮こませながら、ふと思い立って深呼吸をしてみる。冷たく鋭い空気を肺にいっぱい吸い込み…そのなかに僅かなあたたかさを感じて首をかしげた。
「おはよ!」
突然後ろから声をかけられる。
振り向ると大きく手を振りながら、駆け寄ってくる人影。ああ、この人が近くにいたからか。可笑しくなって、息だけで少し笑ってから返事をした。
2/9/2024, 7:11:35 AM