ある日、空から少女が降ってきました。
白いワンピースをはためかせ、ズドーンと。
「いてて……」
「大丈夫ですか?」
痛そうに頭を抱えている少女に手を伸ばします。
「あ、ありがとう。でも大丈夫」
ひょいと体を起こして、ぐるぐると体を動かし始めました。時々ゴキゴキ音が鳴るのが不安です。
「ちょっと…落ちちゃってさー。
ぶつからなくてよかったよ、ほんとに」
ははは。
と人懐こそうに笑って、ふと上を見上げました。
「どうしました?」
「もっかい飛んでくる。
また…失敗しちゃったっぽいし」
「失敗?」
「うん。だって、落ちちゃったんだもん」
なるほど、じゃあこれは失敗なんでしょうね。
彼女にとっては。
「じゃあ、いってらっしゃい」
「いってきます!」
そう言って笑顔で駆け出します。
もうしばらく、自分が飛べる天使だと信じている、
地獄行きの哀れな少女をみていることにしましょう。
11/11/2023, 12:38:29 PM