万点

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          夢と現実

夜空に星が満ちている。
昔に比べると少なくなってしまったが、周辺に建物の少ない僕の家からはまだたくさん見ることができる。

部屋の窓からは冷たい風が入ってくる。
冬の風は心にしみる。泣きたくなる。
虚無感を感じてしまう。
そしてさみしい心を紛らわせるために叶わない夢を頭の中で描いてしまう。
お母さんとご飯を食べる僕
お母さんが僕に向かって「美味しいね」と言ってくれ、「うん!」と答えている僕
お母さんに頭を撫でられている僕
色々と頭の中で描いているとそれが現実になったのではないかと錯覚し一瞬だけ嬉しい気持ちになる。
でも現実は現実のままだ。
絶望しか待ち受けていない。
今日は帰ってくるかな。
新しい男の人を連れてくるのかな。
ベッドのシーツにいつの間にかしがみつき、目が熱くなってきた。
「1日だけでもお母さんを独り占めできますように」
そう願いながら目を瞑った。

12/4/2024, 1:05:08 PM