〈お題:春風とともに〉
早朝のランニング。太陽が雲隠れして少し肌寒く空気が澄んでいる。一息吸っての走り出しは軽やかに、身体の冷えを感じながら公園を目指す。
そういえば花粉と黄砂が世間で騒がれている事を思い出す。花粉症を持たない身からすれば実感の湧かない世界だ。
手前の十字路を右に曲がろうと足を運んだ時、風の予感に従って目を瞑る。
吹き抜ける風が柔らかい。
軽快な足取りで耳障りな選挙区を横断する。
今日も快晴だ。
公園まであと少し、目に見える距離に。
公演の前の信号機が青から赤に変わるのを見て緩やかに減速する。涼しい風が心地よい。
公園からラジオ体操の音が聞こえ始めた頃には公園に背を向けて歩き出す。
「もう行っちゃうの?」信号が青になる。
春風に相応しい温い風が本当の春を運んでいたのを、芽吹いた蕾が証明する。
3/30/2025, 11:30:15 PM