月花

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「海へ」

「ところで何があった?」と頭の中で問う
「ウミへ」
「海?」
「ソウ、ウミへ、アノコタチヲウミヘ」声は聴こえないがワタシには言葉と感情が流れ込んでくる。
「ハヤク、ウミへ」
何か起ころうとしている事は、数年ぶりにワタシを呼び付けた時点でわかってはいた。

その時耳に直に声が飛び込んでくる。
「先輩!聞こえますか!」ナオヤが突然会話を遮る。
「どうした。」声に出して問う
「アルゴスが北と南の海域へ集中しだしました!」
「あぁ、」
「あぁって!早く戻って下さい!オレこんな事始めてで!」


「大丈夫だ、もうミテラ様は承知されてる」
「承知されてるって、先輩何処にいるんですか?なんでそんなことわかるんですか?とにかく早く戻ってくださいよ!」
声に出さずに解ったと答えたがナオヤには聞こえるはずもなく催促の言葉が煩く聞こえ続ける。

彼女に向き直り敢えて声に出して言う
「では失礼します。ミテラ様」一礼して足早に立去る。

背後では祈りのような感情がワタシの背中を押す。

アノコタチヲウミヘ

8/24/2022, 11:14:10 AM