かたいなか

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「『おどる』のネタは3月から数えて3個目……」
食べ物で心踊る、3連休でココロオドル、ソーシャルゲームの最高レア確定演出でこころおどる。
高ストレス下等々、アドレナリンによって興奮状態になるのも一種の踊っている状態かもしれない。
某所在住物書きはネタをポイポイ列挙しては、
その多くが、採用にたどり着けていない。
そもそもこの物書き、心を踊らせる興奮的な状況に、現実問題として乏しいのだ。
ガチャくらいである。そしてすり抜け、爆死する。

「去年は観念して無難に食い物ネタ書いた」
白状する物書きは、今年も良い例が出てこないので、結局食い物ネタへと回帰、帰着、帰宅。
個人的にはイリーガルなアドレナリン・ハイのココロオドルネタを書いてみたかったのだ――資料は本職監修の物が数冊あるから。
勿論その試みは数分で却下。 本職過ぎたのだ。

――――――

どこかのネット記事、裏とり困難な情報源にて、
子どもの時間が長いのはココロオドル機会や場面が大人に比べてとっても多いから、
大人の時間が短いのは、ココロオドル機会や場面が子供に比べてあまりにも少ないから、
というトリビアを見たような気がする物書きです。

ココロオドルかオドラナイかで時間の経過が変わるなら、どうして一切ココロオドラナイ仕事の雑務が、あれほど酷く長い拷問になるのでしょう。
という慟哭はそのへんに置いておきまして、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。某アパートの一室に、後輩、もとい高葉井というのがぼっちで住んでおりまして、
ほぼほぼ日付が変わりかけている頃、己のギルティーな所業にココロオドルしておったのでした。
夜食です。夜食を、作っておったのでした。

「しゃーないよ。これは、しゃーないもん」
卵とマヨネーズでスクランブルエッグ、クリームポタージュの粉スープとパックごはん、それから申し訳程度の野菜要素にブロッコリー等々。
「だって賞味期限が今日なんだもん」
仕方無い、嗚呼、仕方無い。
数日後に賞味期限を迎えるウィンナーなども熱しまして、賞味期限と消費期限が時間&分単位でギリギリの食材を、じゅーじゅー、ぱちぱち。

ガッツリ夜食は、罪の味なのです。
ガッツリ夜食は、ココロオドル味、なのです。
後輩の高葉井が夜食パーティーを開催したのには、深い、幸福な、有罪的なワケがあるのです。
というのも冷蔵庫の野菜室にそれらの食材を突っ込んでいたことをすっかり忘れておりまして。

明日の朝食とお弁当の下準備をしておったところ、ふと、野菜室を思い出したのです。
◯日前にお酒に寄ってフラフラしながら野菜室に突っ込んだ卵を、ふと、思い出したのです。
あの6個入りパックとブロッコリーと半額ウィンナーはどうなってしまったかしら。

約1500円の廃棄/セーフなシュレディンガー。
サッと舌から血流が引き、トンと胸の真ん中が跳ねて、アドレナリンとコルチゾールが暴れます。
高ストレス下の緊張に、心が悪く踊ります。
高葉井はすぐに野菜室を確認して、
大きく、安堵のため息を吐きました。

良かった。少なくとも過ぎてない。 高葉井は一気に冴え渡った頭で瞬時に野菜室内の状況を把握。
卵にブロッコリー、半額ウィンナーに半額チーズ、その他諸々を思考のキッチンに並べて整理して分別して、朝食のメニューに使うだけでは確実に、完全に、量が多過ぎることを理解しました。

『しゃーないよね』
高葉井は覚悟しました。
『夜食するしか、食材救済の方法は、無いよね』
高葉井は、ココロオドルしたのでした。

一度決心してしまえば人間行動がはやいもので。

「わぁ。ギルティー。なかなかに罪……」
ほぼほぼ日付が変わりかけている頃、賞味期限のために夜食の調理を始めた高葉井は、完全に日付が変わって数分立った頃、夜食の準備を終えました。
「なんで夜遅い時間に食べるカロリーってこんなに背徳的で美味しいんだろ」
マヨを混ぜ込んだスクランブルエッグ、カリッと火を通したウィンナー、とろとろチーズとクリームポタージュをソースにしたチーズリゾット。
飲み物に食物繊維入りの強炭酸水を開けまして、両手をパッチン、いただきます。
「ココロオドル」のお題どおり、後輩、もとい高葉井は、夜食で幸福に心を癒やしましたとさ。

10/10/2024, 3:04:28 AM