No156

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やりたいこと

真っ白に近い壁の色と、消毒液の独特な匂いが室内には立ち込めていた。
やりたいことを100書いたが、多分出来ないことだろう。生まれつき心臓の病で25歳までいきられたら御の字だと言われていたそうだ。現在18歳いつも病室に一人きりとても退屈な毎日だった。
そんなあるとき、病室に来客が来るようになった。
小学生くらいの男の子、話を聞いたらおばさんのお見舞いなんだそう。ただ、医者と母親が難しい話ばかりして退屈だったため探検をしていたらしい。
 なぜか知らないが、僕はその子に気に入られたらしく病院に見まいに来た日には絶対によってくれるようになった。男の子は、学校のことや友達のこと、わからない宿題などなんでも僕に話してくれた。それは、僕にとって羨ましくもあったが、退屈だった日常が彼がいるだけで色づいたような感じがした。そんな日が続いていたとき、彼がまたいつも通りに入ってきた。彼の顔には大きなガーゼが当てられていた。僕は驚いて彼に事情を聞いてみたんだ。しかしいつもならなんでも答える彼がそれだけはかたくなに答えてはくれなかった。そういえば、彼の半袖の姿は見たことがなかった。彼にあったのが、春の始め、もう夏本番に差し掛かろうというのに、、、その日は彼はすぐに帰ってしまった。
次の時僕は思いきって彼の腕をつかみ袖をまくり上げてみた。腕は痩せ細り、最近出来たばかりであろうみみず腫のようなものが、彼の腕にはびっしりとあった。「児童虐待」その言葉だけが思い浮かんだ。彼は、腕をまくられたあと泣きそうな顔で、「嫌いにならないで欲しい」と繰り返していた。
僕は彼が泣き止むまで待ったあと、僕の母を急遽呼んだ。その後、彼の母親も呼んで話をした。僕の母は、この病院の医者の一人で「見つけた以上保健所にいわなくてはいけない」そう彼と彼の母親に伝えた。母親の方は「生みたくなんかなかった、お金が足りない、」そんな風に言っていた。彼は、ただ静かに話を聞いていた。

そして、僕を見た。
「もう、お話ができないないの?お兄ちゃんとまたお話してたいよ」ポロポロと彼が泣き出してしまった。その姿があまりにもかわいそうで、「いつでもあえる」なんて約束してしまっていた。彼は、安心したのか、うとうとしだし、眠ってしまった。
彼の母親は、児童虐待立派な犯罪のため警察に引き渡すことにし、彼をどうするのか悩んでいた。
母は、僕が彼が来てから明るくなったことを知っていたし、僕のいきる理由のひとつになっていることにも気づいていた。彼の意思も、僕のそばにいたいというものであったため、母は彼と僕を引き離すことはよくないと判断したらしかった。
そのため、彼を養子にいれることにした。
彼は弟となり、僕は兄となった。
彼が病院に来る理由が、僕へのお見舞いとなり、兄弟になったことでより一層彼と仲良くなっていった。


Side弟
兄さんが、死んでしまった。享年27歳の短いものだった。僕は、誰よりも泣いて兄さんが死んでしまったことを悲しんだ。僕をあの地獄のような日々から救ってくれた兄さん彼に感謝をのべながら葬式を行っていた。兄さんは僕にだけ教えてくれた秘密があった。100のやりたいことリスト、やりたくても出来なかったこと、兄弟になってから兄さんはそのことを話してくれた。お腹いっぱいのジャンクフードを食べてみたいこと、やりたいことリストのなかに弟に勉強を教えてみたいことのがあったことそして、母さんが、悲しむからやりたいことリストのことは母さんには内緒のこと。兄さんのなくなる前にやりたいことリストを僕は譲り受けていた。「お前なら達成できると思う。だから、僕の夢まで持っていって欲しい」とそうお願いされた。
葬式が終わったあと、兄さんのやりたいことリストに目を通してみた。僕からしたら普通のこともたくさん書いてあった。それが、兄さんには出来ずに終わってしまったことそして、憧れるほどのものと僕は後になって知った。リストの中にはほとんど終わったものはなくて、数個引かれているもののなかに、弟と一緒に勉強が本当にあった。兄さんのやりたいことを少しでも手伝えたのかなそう思ってしまった。兄さんの助けに僕はなれていたのでしょうか。

兄さんとの約束のために
まずは、お腹いっぱいになるくらいのジャンクフードを買いに行ってみようかな。

6/10/2024, 3:29:21 PM