微睡み

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行かないで



目をあけたら、当たり前に世界がひろがるように。わたしが眠るときは、いつだって君が隣にいた。だって、それが当たり前じゃん。や、わたしに非が無かったとは断言できないけどさ、わたしがうまく寝れないとき、いつだって、普通に君はいたわけで、でも今はいないね。そっか……。ウン。シャッと音を立ててカーテンを開ければ、差し込む日の眩しさに思わず目を細めて、なんかすごく普通な感じで嫌だな、と思う。ふたりぶんのソファをひとりで座るから、なんか贅沢なほどに寂しい。さびしい。たった4文字を当たり前に呟いてはじめて、あー寂しいんだって実感湧いて、じゃあ今までわたしはなにを抱えていたんだろうね。きみがいないことがわからない。酸素がなくなったとき、ひとは何を思うんだろう。わからないでしょ? それと同じ。でも、もしかしたらこれは後悔。絶え間ない人生だから、わたしが息を吸って吐くたびにそれは繰り返されるけれど、君はやめちゃった。その事実に、なんだかやりきれなくて浮かぶ。ぷかぷかって感じ。マヌケだって笑う君はいないから、わたしも笑わない。あーーわかんない、わかんない。どうしたらよかったなんて、君はなにも教えてくれなかった。寂しそうに笑う顔が頭にこびりつく。息が出来なくなりそう。げほって、まるで噎せたみたいに涙が湧いてでた。言えたらよかったのかな、君がいないと寂しいって簡単なこと、でも言えるわけない。君が苦しいのは痛いほど知ってたから。しゃくり上げるのが止められない。君のあたたかな手は、もう届かない

わたしを置いて

10/24/2022, 10:18:30 AM