椿灯夏

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お題《そっと伝えたい》道標の塔、墓標の塔



森の海に眠る高く高く聳え立つ塔

草花が寂しくゆれ

錆びついた風景

凍りついた時間

塔の周りを風が巡る

風は真新しい香りを運び

時間をゆっくり解かしてゆく

いつの時代からあるか誰も知らないが

この塔の意味を誰もが知っている

それは今へと語り継がれる伝承のように


秋の終わり森は終焉を迎える準備へと移り変わる

絵描きの少年は家族のお土産の茶葉と焼き菓子を買い

帰路を急ぐ

いつもならいつも通りなのに、

この日は何故か違ったのだ

何かに誘われるように、

森へと誘われる


奥へ奥へと歩いていくと――塔があった



そして、その塔を無言のまま見つめる杖をつきたたずむ老婆と出会う



《途中書き》

2/13/2025, 1:09:39 PM