川柳えむ

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 天界から堕とされた。
 元々位の高い天使だった。周りに頼られていたし、真面目にやることをやっていた。何も問題はないと思っていた。
 それが、罠に嵌められた。
 結果、世界には疫病や貧困、争いなど、様々な厄災が広がってしまった。
 取り返しの付かないことをしてしまった申し訳なさや後悔と、なぜこんなことになってしまったのかという疑問、そして恨みや憎しみが心を支配して、ぐちゃぐちゃなまま、天界から堕とされた。
 これからどうしたらいいのか。何もわからなかった。
 ただ、たった一つ心に残ったものがあった。
 ――復讐心。自分を陥れた者へ必ず復讐してやるという固い意志だった。
 それが今の自分を生かして動かす動力源。たった一つの希望である。


『たった1つの希望』

3/3/2024, 2:57:28 AM